アルピナコラム-第90回

水道水が飲めなくなる!?日本のインフラ問題とは?

2017年12月01日

世界196カ国で、水道水を直接飲むことのできる国は、日本を含めてわずか15カ国。アジアに限って言えば日本とUAEのみと、私たちがどれだけ飲み水に恵まれているかが分かります。

水道水を直接飲むことができないため、ボトリングウォーターやウォーターサーバーが普及している諸外国。ですが、将来的には日本の水道水が飲めなくなる可能性があることをご存知でしょうか。

水道管をはじめ、トンネルや道路橋などのインフラ設備は、主に高度成長期以降に整備されました。
トンネルの天井板崩落事故は記憶に新しいですが、古いまま放置されたインフラが増えれば、このような突発的な事故が増える可能性は大。下水道管のみにフォーカスすると、15年後には約1/4が築50年を経過するとのデータもあるほどです。

都市部では中古マンションのリノベーション市場が活性化するなど、古いものに手を加えて長く使い続けることが当たり前となりつつあります。また、コンクリートの耐久性も向上したことから、適切な修繕や管理を行えば、120年〜150年は維持できるのではと推定されています。

しかしこれは、あくまでも都市部の話。立地や利便性が良いマンションは築年数が経過しても人気がありますが、地方となれば話は別。ゴーストマンションが増えるのではと指摘されています。

そんなマンションと同じ問題が、日本の水道問題。水道管のなかには、老朽化でサビが蓄積し、今にも折れたり破裂しそうなものが増えていますが、これらを全て新しいものに交換するとなると莫大な費用がかかります。
そして大規模な水道管の交換工事を行うとなれば、そのコストは水道料金に上乗せされますが、試算上では一般家庭がとても毎月払えるような額ではありません。
つまり、財源のある地域の水道はメインテナンスによって維持できるものの、財源が少ない地域や過疎エリアでは、水道さえ出なくなる可能性があるのです。

地域によっては井戸水の利用や、市街地に都市機能を集中させるなどの案が出ているとのこと。今のように、全国どこに行っても安全な水道水が飲めるというのは、近い将来当たり前ではなくなりそうです。