アルピナマスターコラム-第20回

アルピナマスターコラム

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第20回
中国の水質汚染対策に日本の水処理技術が生かされる

2012年8月7日

その著しい経済成長で注目を集めている中国。 GDPで日本を抜き、世界二位となったことが大きく報道されました。
しかし、この中国の経済成長がどこまでも続き、やがてアメリカを抜くのか?というと、それはあり得ないという見方が、アメリカのエコノミスト等の専門家の間から出ています。それは、中国が水に関して大きな問題を抱えている国だからです。

現在中国では、河川の汚染がかなりのレベルにまで進んでいます。
環境対策を無視して経済最優先で突き進んできたツケがここにきて出ているのです。
中国の水需要は、は長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河の7河川流域に大きく依存していますが、どの河川も汚染が進んでいる状況です。
ラジオ・フリー・アジアが2012年5月に報道したデータによると、中国の水道の50%は同国の安全基準に達していない状況となっています。

そして、問題は飲料水や生活用水だけではない。2012年の夏に北京は50年ぶり以上という豪雨に襲われ、大きな被害を出しました。
また、2012年2月中国雲南省を中心に大規模な干ばつが発生し農業生産に大きな打撃を与えています。

各地で起きる干ばつと豪雨。中国の気候が非常に不安定になっているのは、世界的な気象変動である地球温暖化の影響があると考えられています。これは、自然による従来の水循環が壊れていっていると言えるのではないでしょうか。

経済発展に伴う国内水源の汚染と、気象変動による自然の水循環が従来の通り機能しなくなっているという現状。これは、中国にとって非常に大きな問題なのです。経済成長は人々の生活水準を向上させます。生活水準の向上はより衛生的な生活が可能になるということであり、水需要も増大していきます。
また、それを支える農業、工業も水無しでは成立しません。
世界一の人口を抱える中国が、国民に安全で衛生的な水を供給できるのかどうか、それが中国のこれからの発展のためにクリアしなければいけない高いハードルとして存在しています。

そして、中国の水問題は中国国内に止まらず、隣国との軋轢を生みだしています。
中国内陸部のダム建設が隣国の水供給に影響を与えるという問題です。このような多くの国の間を流れる河川による水資源の奪い合いは、アジア地域の安全保障にまで影響を与えるのではないかと懸念する声もあります。

中国政府は、「国民経済と社会発展第11次5カ年計画」(十一五計画)で水質改善を重要課題として認識し、水処理への投資を行い、河川の汚染の軽減、水資源の再生利用に力をいれていく方針を打ち出しています。このような中国の方針に対し、日本側でも環境省などが中心となり、官民連携で中国の水処理ビジネスへの参入を計画しています。
中国にとって大きな課題である水問題は、同時に高い水処理技術を持つ日本企業にとっては大きなビジネスチャンスとなっているのです。