アルピナマスターコラム-第97回

アルピナマスターコラム

アルピナマスターコラム

第97回
水分の過剰摂取にストップの声!?

2018年03月09日

夏場の熱中症や冬場のかくれ脱水を予防するためにも、1日2リットル程度の水分補給が呼びかけられています。
また水分不足は脳梗塞や心筋梗塞のリスク要因にもなるとの理由から、厚生労働省では「健康のため水を飲もう」といった推進運動も行われているほど。しかし先日、この“1日2リットルの水分補給”という定説を覆す研究が発表されたのです。

この研究を行ったのは、オーストラリアのモナシュ大学とメルボルン大学の共同研究プロジェクト。水分を過剰摂取することで脳の指令による“嚥下阻害(えんげそがい)”が生じることに着目しています。
あまり聞き慣れない嚥下阻害という言葉ですが、高齢者と接する機会が多い方ならご存知かもしれません。というのも、この嚥下阻害は加齢によって起こりやすくなる症状だからです。

私たちは普段何気なく食べ物や飲み物を飲み込んでいますが、それは舌や喉が正常に動いているからこそ。高齢になるとこの機能が上手く働かず、水や食べ物が食道ではなく気管へと流れてしまうこともあるのです。
これまで嚥下障害(阻害)は、加齢や疾患によって起こるとされてきました。しかし今回の共同研究では、喉が乾いた被験者が十分な水分量を摂取したあと、さらに水分を摂取するよう指示したところ、脳の指令によって水の飲み込みが悪くなったというのです。

これは、自身が必要な水分量を保つために、からだが自然と行っているメカニズムとのこと。水を飲んだ際に脳が嚥下阻害を起こすのは、既に体内の水分量は十分という印だというのです。

ヒトはからだ付きがそれぞれ異なるだけでなく、アスリートとデスクワークの人では汗をかく量も変わってきます。また、塩分の多い食事を好む人や水分の多い野菜を多く食べる人など、食生活も人それぞれ。つまり必要以上に水分補給を行うのではなく、喉が乾いたと感じたら飲むことが重要だと、今回の研究では提唱しているのです。

“1日2リットル”という数字ばかりに気を取られ、飲みたくもない水を無理矢理飲んでいたという方は意外と多いのでは。これからはからだの声に少し耳を傾け、気楽に水分補給を行うというスタンスに変えてみてはいかがでしょうか。